ウィズコロナ時代のインバウンド対策~外国人観光客が起こす宿泊施設でのトラブル事例と対処法~

こんにちは。インバウンドコーチ®インストラクターの水上眞知子です。

東京都などに出ていた新型コロナ対策の緊急事態宣言と8県へのまん延防止等重点措置が本日(9/30)をもって解除されることになり、明日以降は私たちの生活も「段階的に制限が緩和」されていくことになります。

引き続き各自のそして店舗・施設の感染対策を続けることはもちろんとして、そろそろ外国人観光客が日本、そして皆さんのお店や施設に戻ってくるイメージトレーニングを始める時期が来ています。今回は、そんなイメージトレーニングに使っていただきたい、宿泊施設で多発しているトラブル事例、そしてトラブル防止策についてのコラムです。


ホテルや旅館で多いトラブル事例

海外からの観光客が増えるともに、大きな問題になるのが、宿泊先で巻き起こすマナートラブルです。ホテルや旅館で働いている人たちにとっては悩みの種の一つになっているのではないでしょうか。

以前、日経リサーチが行った興味深い調査があります。1001カ所の宿泊施設を対象にしたリサーチ「課題多い訪日外国人客の受け入れ体制」(2015年)によると、過去に訪日外国人との間でトラブルがあったと回答した施設が、全体の37.6%でした。

具体的なトラブルとしては、お風呂やトイレの使用方法のほか、食事のマナー、香水や食べ物のにおい、不泊・料金のトラブル、備品の持ち出しなどが挙げられています。具体的な事例としては以下の通りです。

【お風呂の使用方法】

・大浴場に、水着着用で入浴する

・共同浴場の水を抜く

・大浴場のお風呂の中で身体を洗う

【トイレの使用方法】

・使用済みのトイレットペーパーをゴミ箱に捨てる

・トイレを流さない

【食事のマナー】

・バイキングの食事を持ち帰る

・一度取った料理を戻す

・手づかみする

【香水や食べ物のにおい】

・臭いのきつい食べ物を冷蔵庫に放置する

・客室で香りのきつい香水やお香を使用する

【不泊や料金のトラブル】

・延長料金を踏み倒す

・料金清算後も部屋に荷物を置いて外出する

・連泊の際に、しつこくディスカウントを求めてくる

【備品の持ち出し】

・シャンプーやソープなどの備品のボトルを持ち出す

・食堂のナプキンや箸などを持ち出す

【その他】

・廊下やエレベーターホールで騒ぐ

・チェックイン時に並ばずに割り込みをする

・ポットでインスタントラーメンを作る

出典:日経リサーチ「課題多い訪日外国人客の受け入れ体制」(2015年)


宿泊施設は特に文化の違いによるトラブルが起きやすい 

日本人からしてみると、上に挙げたような事柄はいずれもエチケットやマナーを欠いており、信じられない部分もあるかと思いますが、どれも実際に起こったトラブルです。

これらのトラブルは他のお客さまからの印象を損ねたり、売上の低減につながったりする可能性もあるため、適切な対処が必要です。

こうしたトラブルの原因は「文化の違い」に起因していることが多いのが特徴です。自国ではさほど問題視されていないことであるがゆえに、対処が難しいケースもあります。


トラブルの防止策

これら、外国人観光客との間で発生するトラブルを回避するにはどうすればよいのでしょうか。

具体的な対処方法としては、以下が挙げられます。

【館内の利用方法やマナー、注意事項をしっかり案内する】

トラブル回避に有効な手段の一つが、事前の説明です。チェックイン時はもとより、団体観光の場合は母国語が話せる添乗員からマナーや注意事項をしっかりと説明してもらうことで、トラブルを減らすことができます。

【多言語による館内案内の充実化】

多言語による館内案内を充実させることも有効な手段の一つです。館内の利用方法、マナー、守ってもらいたいことなどを、注意書き・パンフレット・ピクトグラムのサインなどを用いて観光客に適切に伝えていく努力をしましょう。

言語は少なくとも英語さえカバーしていればOKですが、必要に応じて中国語、韓国語も用意しておくとよいでしょう。

上記以外にも、チェックイン前にメールであらかじめアナウンスしておくなど、注意喚起の機会を増やし、意識を高めてもらうことが大切です。


スタッフの英語研修を行い、英語で対応していくメリット

トラブルを回避するためには、英語による接客研修を導入するのもおすすめです。英語でコミュニケーションが取れると、トラブルが起こった際にも大きな問題に発展することを防げます。

外国人からの質問に対して英語で答えるなど、意思疎通がスムーズに行えると信頼度が増し、宿泊施設側からのお願いごとにも素直に応じてもらえる可能性があります。

言葉が通じないと宿泊客の意見を聞いたり、施設側のルールを正しく伝えたりできません。

例えば、廊下で大人数で騒いでいるグループがいれば、ほかのお客さまの迷惑になることを伝えるとともに「日本のカルチャーとして大きな声で存分に歌が歌えるカラオケボックスがあり、近隣の店を案内する」といったこともできます。

外国人観光客の話を聞き、こちらの意図をきちんと伝えることができれば、お互いのストレスが減り、マナーの改善も期待できます。

インバウンド対応は最初の導入こそ大変ですが、しっかりと対処できるようになれば、大きなビジネスチャンスにつながります。

長期的な視点でみれば、売上UPにもつながっていくでしょう。外国人観光客の集客を強化する場合は、英語による接客研修の導入を検討してみてください。

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