コロナ時代、今できることから始めよう!旅館におけるインバウンド対応の課題とは?外国人観光客が旅館よりもホテルを選ぶ理由

いまだコロナウイルスの脅威と影響はなくなりませんが、私の関わらせていただいている宿泊施設、店舗や企業の皆様にはアフターコロナを見越しての準備をおすすめしており、実際に動き出した施設も多くなりました。

前回に引き続き、今回も宿泊施設、特に旅館がとるべきインバウンド対策についてお話しします。人の往来が再開し、皆様の旅館に外国人ゲストが訪れるようになる日にスタートダッシュできるよう、今できることを始めてみませんか。


旅館は外国人観光客が利用したい宿泊施設ナンバーワン

旅行者にとって、どんなところに宿泊するのかも楽しみのひとつです。

日本らしい情緒や風情を味わうならば旅館が一番!と考えている方も少なくないでしょう。外国人観光客からも人気が高いですが、インバウンド対策については、なかなか進んでいないというのが現状です。

宿泊先として、旅館、ホテル、民泊などさまざまな候補から選ぶことができますが、外国人観光客からの人気を集めているのは旅館です。

公益財団法人日本交通公社と、日本政策投資銀行が共同で行った調査に「DBJ・JTBFアジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査(平成27年版)」があります。

24枚の日本の写真を提示し、行ってみたい観光地についてたずねたところ、第1位が温泉で、第6位に日本旅館がランクインしました。

さらに、訪日旅行で利用したい宿泊施設として旅館が68%を占めており、その人気ぶりがうかがえます。

旅館が抱える問題:実際の利用率とのギャップ

しかし同じ調査で、実際の利用状況をみてみると、日本旅館を利用した外国人観光客は49%と、20ポイント近くダウンしている結果が出ています。

日本旅館に続いて人気の高級ホテルは7ポイント差(利用してみたいが39%、実際に宿泊したが32%)、安価なホテルは4ポイントアップ(利用してみたいが34%、実際に宿泊したが37%)していることから、日本旅館を検討したのちに、結局ホテルに泊まったという外国人観光客が多いことが、この結果からわかります。


旅館におけるインバウンド対応の課題 

旅館は「泊まってみたい」といった声が多いにもかかわらず、実際の予約に結びつかない原因は何なのでしょうか。

それにはいくつかの原因があります。

【インターネット予約への未対応】

自分たちで旅行の手配を行う観光客の70%が、インターネットで宿泊施設の予約を行っています。

しかし、インターネット予約ができるように整備している旅館が少ないのが、実際の宿泊につながらない要因の一つとして挙げられます。

電話で予約する人がたったの9%である現状を踏まえると、インターネット予約ができる環境の構築は、すぐにでも着手すべきことといえるでしょう。

口コミサイトとして知られる「Tripadvisor(トリップアドバイザー)」に登録するのも、ひとつの方法です。

無料で写真や基本情報の登録ができて、Web予約のプラットフォームとしても活用できます。国内外の旅行者の多くが参考にするメディアなので、集客力の強化にも貢献します。

【海外へ向けた情報発信不足】

観光庁による調査「訪日外国人の消費動向」(平成29年)によると、出発前に得た旅行情報源で役に立ったもののトップに挙がっていたのが「個人のブログ」で、続いて「SNS」でした。

集客という観点をふまえれば、インターネット予約と同様、Webサイトなどは切っても切り離せないメディアです。そのため、外国人観光客向けにFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などを開設して、積極的に情報発信し、ファンを増やしていくのがおすすめです。


旅館がリピート顧客を創出するために行いたいこと

続いて、宿泊した外国人観光客の満足度を高め、リピートや高い口コミ評価を得るためのポイントについてお話したいと思います。

【多言語対応】

それはズバリ、多言語対応です。食事のメニュー、館内の利用案内、チェックインの受付フォームなどに対して、英語の表示を付け加えることで外国人観光客がとまどうことなく、施設を利用することができます。

外国人観光客の利便性が高まることは使い勝手の良さにつながり、「心地よさ」にもつながり、SNSなどでもポジティブな内容で情報発信をしてもらえます。

畳の部屋の使い方、共同の温泉スペースの使い方などは、外国人にとって初めて体験することも多いので、英語などで注意書きなどを掲示することでマナーが守られ、ほかのお客さまに不快な思いをさせることも減ります。

【スタッフの英語力の向上】

さらに行っておきたいのが、旅館スタッフの英会話の習得です。

簡単な接客英語でも、できるのとできないのとでは、サービスに大きな差が出てきます。英語でコミュニケーションできることがわかると、外国人観光客は安心感を覚えます。また、自分の要望が伝えられることは、満足度にもつながります。

リピーターになってもらえる可能性もあるほか、インフルエンサーとなって周りに広めてもらえる可能性もグンと高まります。

旅館の多くはインバウンド対応がまだ十分とは言えない施設が多いので、早めに取り組んでほかの旅館が提供するサービスと差別化を図り、集客へとつなげていきましょう。

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