外国人観光客が喜ぶ飲食店でのおもてなし 5つのポイント

2011年以降、増加の一途をたどる外国人観光客。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、各業界ではインバウンド対応が急ピッチで進められています。

日本での食事を楽しみにしている観光客も多いため、飲食店にとってインバウンド対応は急務です。今回は、飲食店がとるべき「おもてなしのポイント」について解説します。

外国人がよろこぶおもてなし その1「お水・おしぼりの出し方」 

日本では当たり前のように提供されるお水ですが、有料で提供している国が多いことはご存じでしょうか。

海外では料金を支払って購入するのが一般的なので、外国人にとっては大変喜ばれるサービスです。日本ならではの「おもてなし」として、大きなアピールポイントになるでしょう。秋から冬にかけては、あたたかい飲み物を出すのも喜ばれるでしょう。

おしぼりも、日本ならではのサービスの一つです。おしぼりをお客さまにお渡しする際は、両手で広げてお渡しするのが一般的なマナーです。

可能であれば食事中にタイミングをみて取り換えてあげると、おもてなし度がグンとUPします。日本人のお客さまにも喜ばれる所作ですので、ぜひ取り入れてみてください。


外国人がよろこぶおもてなし その2「券売機に関する説明」

牛丼店やそば・うどん店、ラーメン屋さんなどに券売機が設置されていますが、海外ではそういった飲食店はほとんどありません。なじみが薄いため、事前に説明してあげましょう。

食券を取り入れているお店の多くは、接客業務の効率化を図るために設置しているケースがほとんどかと思います。そのため、忙しい時間帯などにも対応できるよう、券売機の近くに英語や中国語による説明を記載しておくのがおすすめです。さらに、困ったときは近くの店員に声掛けするよう、一言付け加えておくとより親切ですね。

外国人がよろこぶおもてなし その3「食べ方の説明」 

2017年に観光庁が外国人観光客向けにアンケートを行いました。飲食店にしぼったアンケート項目では、「食べ方の説明を受ける際に困った」と回答をした人が32.2%にも達しています。

なかでも、そば、うどん、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどは日本ならではの食べ方があり、戸惑いを感じる人が多いので、必要に応じてレクチャーできるように準備しておきましょう。

【そばの食べ方:フレーズ例】

「おはしでそばを持ち上げてください」

Pick up a chunk of noodles with your chopsticks.

「噛み切らずにすすって食べてください」

Slurp the noodles without biting them off.

「どんぶりから直接スープを飲んでください」

Drink the soup straight from the bowl.


外国人がよろこぶおもてなしその4「外国語表記されたメニューの作成」 

2017年に観光庁が外国人観光客向けに行ったアンケートで、飲食店での困りごととして1位にランクインしたのが「料理を注文する際」(65.8%)でした。そのため、インバウンド対策として、外国語表記のメニューを用意するのは、欠かせないサービスと言えるでしょう。

農林水産省発行が2017年に発行した「飲食事業者のためのインバウンド対応ガイドブック」によると、国別のインバウンド人数は、第1位が中国人で26.5%、第2位が韓国人で21.2%、続いて台湾(17.3%)、香港(7.7%)、タイ(3.3%)となっています。

全体的にみると、アジア諸国が83.6%で、欧米・オーストラリアが12.3%となっています。世界共通語である英語を押さえておくことはもちろん、中国語、韓国語も併記してあると大変役立ちます。

外国語表記のメニューを作る際には、単にローマ字表記するだけではなく、どのような料理なのか説明を加えることが大切です。あわせてメニューには写真も載せておきます。写真からどんな料理かある程度、イメージすることができます。


外国人がよろこぶおもてなし その5「ベジタリアンやビーガン向けの料理の提供」

海外では、宗教や個人の思想などから、特定の食材を食べないという人もいます。もちろんアレルギーにも注意が必要です。以下が制限されている食材の一例です。

【注意すべき食材例】

・キリスト教

アルコール、紅茶、お茶、肉、コーヒー

・ヒンドゥー教

豚、牛、魚、玉ねぎ、にんにく、ニラ、らっきょう、アサツキ、卵、生もの

・仏教

肉すべて、らっきょう、玉ねぎ、ニンニク、ニラ、アサツキ

・ユダヤ教

豚、貝類、タコ、イカ、甲殻類、うなぎ、穴子、ナマズ

・イスラム教

豚、アルコール、動物性の食材すべて、

・ベジタリアン

肉、魚介類全般、玉ねぎ、ニンニク、卵、乳製品、ニラ、らっきょう、アサツキ

・アレルギー

卵、乳、小麦、ソバ、エビ、カニ、落花生

※特に患者数が多く、重症化しやすい。

なお、ベジタリアンについては食べられる食材によってラクト・ベジタリアン(肉・魚・卵はNG、乳製品やハチミツはOK)やオボ・ベジタリアン(肉・魚・ハチミツはNG、卵はOK)のようにカテゴリが20種類近くにも及んでいます。すべてのベジタリアンの趣向を網羅したメニューを用意することは不可能です。

肉や魚を取り除いたメニューを用意しておくことはもちろんよいことですが、必ずしも効果的とは言えないのが現状なのです。そのため、「臨機応変な対応」ができるように準備しておくことが望ましいでしょう。

「飲食事業者のためのインバウンド対応ガイドブック」には、指さしでNG食材について確認できる「アレルギー・食べられない食材チェックシート」が掲載されています。プリントアウトすればすぐ使えるようになっています。指さしでNG食材を示してもらうとよいでしょう。

日本語メニューも同じですが、使用されている食材を一覧表記しておくのもおすすめです。


スタッフがスムーズに対応できるようにお店に合わせた事前の接客研修を

インバウンド対応と聞くと、難しく感じるかもしれませんが、すぐに着手できることもたくさんあります。

基本的には、日本人のお客さまに接するときと同じように、外国人観光客の方にも「おもてなしの心」で接すれば大丈夫です。まずはやさしい笑顔を作ることからはじめてみましょう。

外国人観光客に対する接客スキルを磨きたいという方には「英語による接客研修」がおすすめします。外国人観光客とのコミュニケーションを楽しめるようになります。

株式会社ニココム

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