飲食店で増加している外国人観光客との「お通しトラブル」対処法
こんにちは。インバウンドコーチ®インストラクター/ シニアマナーOJTインストラクターの水上眞知子です。
外国人観光客の増加とともに増えているのが、飲食店での消費者トラブルです。なかでも、よく話題にあがっているのが「お通しトラブル」です。
この「お通しトラブル」は、頼んでもいない料理が出てきて、その料金を取られたといったクレームです。居酒屋などの経営者にとっては、悩みの種の一つになっているかもしれません。今回は、お通しトラブルの対処法についてご紹介したいと思います。
「お通し」とは
そもそも「お通し」とは何なのか、改めて説明したいと思います。
お通しとは、居酒屋で提供される「お酒のつまみ」のことをいいます。「肴(さかな)」とも「突出し(つきだし)」とも言われており、1935年頃から始まったとする説が一般的です。
注文してから、料理が提供されるまでの待ち時間に、「お酒と共に楽しめるつまみがあるとよいだろう」との心配りから生まれた、日本独自の文化です。なお、「先付(さきづけ)」も耳にしたことがあることと思いますが、厳密には別物です。先付は懐石料理で1品目に提供される料理のことをいいます。
外国人観光客との「お通し」トラブル事例
2018年の12月に、外国人観光客専用の電話相談窓口「訪日観光客消費者ホットライン」が新設されました。
これは、日本滞在中に遭遇した消費者トラブルについて相談できる窓口で、日本語のほか5つの言語(英語・中国語・韓国語・タイ語・ベトナム語)からの問い合わせに対応しています。この窓口には、「文化の違い」が原因で生じた消費者トラブルに関する相談も寄せられているといいます。
そのなかで代表的な事例の一つとして挙げられるのが「お通しトラブル」です。お通しは、日本人ならごく当たり前の食文化として受け入れていますが、外国人観光客にとっては、なじみのないものなのです。頼んでない料理を一方的に提供されて、代金まで請求されたと感じる外国時観光客が多いのが現状です。
一般的には300円~500円程度の価格設定の居酒屋が多いですが、なかには1000円で提供しているお店もあります。日本文化として事前に知っていれば、理解されることと思いますが、知識ゼロの状態であればストレスを感じる原因となるでしょう。
そのため、お通しを提供している飲食店においては、あらかじめお通しのシステムと料金を説明しておくのがベターです。
たとえば英語には「お通し」に該当する言葉がないため、前菜(appetizer)や席料(Table Charge)として説明するのがおすすめです。また、外国語のメニュー表にお通し料金が発生することを記載しておくのもよいでしょう。
お通しトラブル発生時の対処法!外国人観光客向けにおすすめの英語フレーズ
英語でお通しについて案内する際のフレーズ例は以下の表現があります。
「こちらは前菜(お通し)で、有料となっています」
Here is your appetizer. There is a charge for this.
「テーブルチャージのようなものです」
It is like a table charge.
「(お通しはいらないと言われたとき)誠に申し訳ございません。お通しが不要な場合でも、テーブルチャージをいただいております」
I'm very sorry. A table charge applies, even if you don’t want the appetizer.
お通しのほかにも、季節や仕入れ状況によって値段が上下する「時価」についても注意が必要です。日本料理店や懐石料理、お寿司屋さんでは、一言加えておくと親切ですね。
「このメニューは、仕入れ値によって変動します」
The prices on this menu vary depending on the daily purchase price.
「本日は5000円で提供しています」
Today’s course will cost 5000yen.
外国人観光客とのトラブルを防ぎ、集客力UPにつながるオススメの方法
お通しトラブルのほとんどは、事前に外国語メニューに表記しておいたり、スタッフから声掛けしたりすることで未然に防げるケースがほとんどです。
そのため、いつでも使えるフレーズを頭にいれておけば安心ですね。難しいことではありませんので、気持ちよく食事をしてもらうためにも、メニューに記載するのに加えて、言葉で伝えることを心がけましょう。
笑顔で丁寧に伝えることで、日本の飲食店の仕組みを知ってもらうことができます。また、興味を持ってもらえるきっかけにもつながります。
Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)といったSNSによる情報共有が当たり前になっている現代、外国人観光客からの「いいね!」が、売上拡大に直結するといっても過言ではありません。
外国人観光客の増加に戸惑いを感じる飲食店も少なくないと思いますが、今のこの状況は「飛躍のチャンス」ととらえることもできます。
接客スキルを向上させ、外国人観光客の集客を増やしたい飲食店の方は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、外国語接客などの研修を取り入れることをおすすめします。
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