小売店での外国人観光客トラブル。レジの割り込みや返品にどう対処すべき?
【飲食店・宿泊施設・小売店向け】インバウンド対応研修
早いものでもう3月、空気には春の気配が感じられるようになりました。この一年は新型コロナウイルスに翻弄された一年でしたが、少しでも早く状況が好転し、穏やかな日々になるよう祈らずにはいられません。
インバウンド客が戻るのはいつになるのか、どの国から戻り始めるのか、現時点では予測できないところですが、コロナ禍の今を乗り切るための施策に加えて、回復期以降のインバウンド受け入れ態勢、接客対応に能動的に動いていきたいところです。
近い将来、インバウンド客が戻り日本人だけでなく、外国の人にも商品を購入してもらえることは、小売店の経営者にとっては、大きなビジネスチャンスといえるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、小売店の方に向けて、外国人観光客とのトラブルに適切に対処する方法をご説明いたします。
小売店で多い外国人観光客によるトラブル
小売店では海外などから訪れた観光客の「自己都合による商品の返品」や、「会計を待つ購入者の列への割り込み」などが大きなトラブルとなっていることはご存じでしょうか。
まず、「自己都合による商品の返品」ですが、これは、好みに合わなかった、サイズが合わなかったなどの理由で返品を求めるトラブルです。日本では商品にやぶれやほつれなどの不備がない限りは、返品に応じない小売店も少なくないため、消費者トラブルに発展しやすいのです。
「会計を待つ購入者の列への割り込み」は日本人であればマナー違反、非常識と、とらえられますが、外国ではさほど問題視されない場合があります。
というのも、そもそも列に並ぶ習慣がない国もあるからです。たとえば中国では人口が多いため、譲り合っているうちに「自分の取り分がなくなってしまう」といった心理から、ごく日常的に列に並ばずに割り込んでしまう光景が見られるほか、割り込まれないように距離を詰めて並ぶといったことも多々あります。
外国人観光客との消費者トラブルの原因は「文化の違い」
上記に挙げたトラブルは、トラブルのほんの一部です。いずれのケースにしても、問題が起こってしまう根本的な理由は「文化の違い」です。
日本のカルチャーや慣習を知らないがために、日本人からすれば常識から外れた言動・行動をしてしまうのであって、いやがらせやいじわるをしているわけではありません。
消費者トラブルに発展するのを防ぐためには、「日本の常識は、外国人観光客に通用しない場合がある」ということを理解することが大切です。
まずは「異文化理解(cross-cultural understanding)」の心を持つことが第一歩といえるでしょう。
世界には多様な文化が存在していることを理解できれば、おおらかな気持ちで外国人観光客を受け入れられるはずです。そのうえで、状況に応じて日本のマナーや慣習を伝えることができれば、相手からの理解も得られるはずです。
外国人観光客とのトラブルを防ぐ方法
外国人観光客とのトラブルを避けるための具体策としては、以下が挙げられます。
【多言語表示での注意書き】
返品NG、割り込み禁止、土足厳禁、撮影禁止、ポイ捨て禁止、店内での飲食禁止、トイレの使い方など、外国人観光客向けの注意書きを掲示しておくことで、トラブルを防げる可能性があります。
注意書きを掲示する際は、日頃私たちが目にする禁煙マークのように、ピクトグラム(単純化されたイラスト)を用いると、年齢や国籍問わず誰にでも理解してもらえるのでおすすめです。ピクトグラム素材を豊富に取りそろえている無料サイトもあるので、チェックしてみてください。
【リーフレットの配布】
店頭に、マナーについて記したリーフレットを設置したり、配布したりするのもよいでしょう。
リーフレットは英語のほか、中国語と韓国語が用意されていると日本に訪れる外国人の多くに読んでもらえます。3カ国語が難しい場合は、英語で書かれたリーフレットを用意しておくようにしましょう。
トラブル発生時は都度対応が必要
消費者トラブルの発生を防ぐために注意書きのステッカーなどを店頭に張ることをおすすめしますが、すぐにトラブルをゼロにすることは難しいでしょう。
多くの人の目につくところにステッカーを張ったとしても、すべての人が掲示されているマナーを見てくれるとは限りませんし、マナーを守ってくれるとも限りません。トラブルの発生時には、スタッフが都度、適切に対処していくしかないのです。
スタッフ教育の重要性
そこで大切になってくるのが、スタッフ教育です。適切に接客・応対・クレーム対応できるスキルが身についていれば、トラブルの多くは、大きな問題に発展せず収束できる可能性があります。
Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)といったSNSのほか、TripAdvisor(トリップアドバイザー)などの大手口コミサイトが乱立する現代においては、外国人観光客からの評価が、売上を左右するといっても過言ではありません。
そのため、トラブルが起こらないように対策を講じておくことはもとより、適切にクレーム対応ができるスキルを身につけておくことも同じくらい大切です。トラブルが起こった時にこそ、お店側の誠実な姿勢が問われるといってもよいでしょう。
日本語における接客マナー・接遇マナー研修は多くのお店で取り入れられていますが、外国からのお客さまにも対応できるように、英語による研修を行うことをおすすめします。
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